大統領も口にした「京畿道ダナン市」
2025年8月、韓国の李在明大統領はベトナム国営通信社(VNA)とのインタビューで、 両国の民間交流の深さについて問われた際、「京畿道ダナン市」という 言葉を聞いたことがあるかとベトナム側に問いかけました。あまりに 多くの韓国人が休暇でダナンを訪れるため、「ベトナムなのか韓国なのか 分からないほど」という意味で生まれたニックネームだと紹介したのです。
実はこの呼び名自体は新しいものではなく、韓国の旅行メディアでは 少なくとも2016年ごろから使われている、かなり定着した表現です。 それが2025年、一国の大統領の口から公式な外交インタビューで語られる までになった、というのがこの話の面白いところです。
外国人観光客の5人に1人以上が韓国人
冗談だけでは終わらない具体的な数字もあります。2026年6月末にソウルで 開催されたダナン観光プロモーションの場で、駐韓ベトナム大使は 2026年1〜4月にダナンを訪れた韓国人が約82万3,000人に 上ったと明らかにしました。これはダナンを訪れる外国人観光客 全体の約22%を占め、ベトナム全土を訪れる韓国人観光客の おおよそ半数に相当する規模だといいます。
2025年には400万人以上の韓国人がベトナムを訪れており、その中でも ダナンが突出した人気を集めていることがうかがえます。
ダナン市も本気で韓国人観光客を優遇中
ダナン市の反応も本気度が高いものです。2026年7月1日から12月31日まで、 ダナン国際空港のチェックインカウンター利用料を全航空会社 対象に20%引き下げるという、ベトナムで初めての政策を導入。 さらに韓国の秋夕(チュソク、旧盆にあたる連休)にあわせて、 2026年9月23日から26日の期間には韓国人観光客向けの特別な歓迎 プログラムも用意されています。
なぜここまで愛されているのか
韓国からの直行便で数時間というアクセスの良さに加え、ダナン・ホイアン・ フエ・ミーソン聖域まで一体で楽しめる文化的な奥行き、治安の良さ、 5つ星評価を受けたダナン国際空港の使いやすさなどが、繰り返し理由として 挙げられています。ゴルフ・ウェディング・MICE(会議・報奨旅行など)・ ウェルネスといった多様な旅行スタイルに対応できる懐の深さも、 リピーターを生み続けている理由のようです。
気になる直行便事情
一方で、駐韓ベトナム大使は同じスピーチの中で、国際情勢や 地域情勢の変化により、韓国とダナンを結ぶ航空便の便数が近年減少 しているという課題にも触れていました。これほどの人気を 誇りながらも、直行便の本数自体は必ずしも右肩上がりではないというのは 少し意外な事実です。だからこそダナン市は空港利用料の引き下げなど、 韓国路線をてこ入れする施策に力を入れているとも言えそうです。
日本からの直行便は逆に増便が進んでいる状況で(詳しくは こちらの記事にまとめています)、 同じダナンでも国によって航空事情の明暗が分かれているのは、 なかなか興味深いポイントです。